両立すること

私は中学生のころ吹奏楽部に入っていました。他の部活の3年生は夏休み前に引退するのですが、吹奏楽部はその頃11月の演奏会で引退することになっていました。そのため、他の部活の子が夏から塾に毎日行き始めたり、本格的に受験勉強に取り組むようすを見て焦る気持ちがあったことを覚えています。同じ部活の友達と「毎日部活に行ってて大丈夫かな」「みんな今頃勉強しているのかな」と話したりもしていました。

そんなとき、顧問の先生が3年生に向けてしきりに言うようになったのが「両立をしなさい」ということでした。「どちらかを切って片方に集中するのではなく、自分で工夫して両立しながらどちらにも集中しなさい。その方が必ず力になるから」というような内容でした。

中学生の私はそれまでに「両立」することなど特に無く意識したこともなかったので、その先生の話がすごく印象的でした。「うん、なんか両立できる方がかっこいいぞ…」となんとなく思って、部活も勉強も頑張っていました。
今思うと両立の大切さがよく分かります。自分にとってしなければいけない事やしたい事など、いくつかの事のどれかを削って取り組む集中より、両立して取り組む集中のほうが密度が高いと感じています。(はじめから集中したい事がひとつである場合を除いて)

例えば「勉強しないでゲームばっかりやってしまう」という子に対しても「ゲームやめないとね」より「どうしたらゲームと勉強を両立できるか」という方向に進むよう一緒に考えながら話をしたりします。
好きで楽しくやっているゲームをやめさせるような制限をするより、両立させるための声かけや本人との相談を重ねることの方が良いのかなと考えています。密度の高い集中した時間を経験できるチャンスだとも思います。
自発的ではない場合、そう簡単に両立させることは難しいことだと思いますが、相手を信じてコツコツ声をかけていくことしかないのかなと思っています。