声に出すこと

私の教室は、何軒かお店が入っている長屋のような建物にあります。ほとんど毎日どのお店よりも遅くに終わるので、帰るときは誰もいなくて真っ暗です。
でもたまに、別のお店の方がまだ残っておられて帰るタイミングが一緒になることもあります。そのときに「ごくろうさん」と言ってくれて、私も「お疲れ様です」と返す。このやり取りにものすごく癒されるのです。気持ちがスッとなります。いつも一人で黙って帰るだけなので、すごく染みます。

一日のことを「おつかれさまです」にぎゅっとまとめて体の外に出せること、それを「ごくろうさん」が受け取ってくれること。別にお互いごく当たり前のあいさつとしてやっているだけなのですが、自然と気持ちが軽くなるような効果が生まれているのだと思います。
大げさに聞こえるかもしれませんが、このやり取りから思うのは「受け取ってくれる相手がいる時に体の中にあることを外に出すことは大切だ」ということです。

悩み、楽しかったこと、悲しかったこと、ふだん考えていること、腹が立ったこと、くだらないことなど、なんでもです。逐一話した方が良いというのではありません。ずっとためておくのはあまり良くないのではないかと思っています。
月に1回でも年に1回でも構いません。たまに声に出して自分の外に出してあげることで心の中を軽くしていくことは本当に大切です。楽しいこととか嬉しいことでも声に出して誰かに受け取ってもらうことに意味があるように思います。ためたままにしておくと心は重くなり、心の不調の一因になると考えています。