無口な人ほど「自分との会話が多い人」だと私は捉えています。心の中ではすごくおしゃべりでいろんなことを自分と話しているのだと思っています。無口な人の中には自己完結してしまって誰かに自分のことを伝え慣れていない人もいると思います。全員にあてはまるわけではないけど、少なくとも私はこのタイプに当てはまります。だからすこし主観が強めですが、似ている人もいるだろうと思うので書いてみます。
話す相手が自分の場合、思ったことはぽんぽん言えるけど受け止めるのはぜんぶ自分でそこに誰かの視点はありません。誰かに伝えるときはある程度考えをまとめて伝える用の形を整える作業が必要ですが、相手が自分だとそれをしなくて良いので考えはたくさんあるけどバラバラと散らばった状態になりがちです。そのため、いざ話す場面があっても思うように伝えられず、人と話した後は「ひとり反省会」が開催されて「あれを言ったのは良くなかった。たぶんこう思われてしまっただろう」「なぜあんなことを言ってしまったんだろう。気を悪くさせたかもしれない」など反省点が山ほど出てきて、結局「やっぱり人に話すのはやめておこう」という結論になって無口は続きます。
無口なのがダメだとは思っていないのですが、相手とのコミュニケーションが不可欠な場面や言葉にして話さないと次に進めない場面もあります。だからもしそこで困っているのなら相手に伝える練習をしておくことは、自分を「やっぱりだめだ」とがっかりさせないためにも良いのではないかなと思います。例えば私がこうやって考えていることを文章にしているのもその練習の一つだと思ってやっています。
そしてカウンセリングもとても良い練習のひとつになります。カウンセリングではうまく話す必要はまったくありません。自分の思いを声にして外に出してみることで、自己完結していたところに変化が出ます。人にどう思われるかではなく自分がどう思うかにスポットを当てて深めていきます。そうすることで「自分は実はこう思っていたのか」などの気づきがあったり、自分のことをよりよく知る機会にもなります。自分を知れば相手にも伝えやすくなります。カウンセリングはこのように使うこともできます。
私はカウンセリングをしたり子どもの話を聞く立場でもあるので、話すことに慣れていないのだろうなと感じたときは「今話したことだけであなたを判断することはないのでその点は心配しないでください」と伝えることもあります。私が実際にそういうようなことを言われたことがあって、安心して話しやすくなった経験があるからです。もし周りに話すのが苦手そうな人がいたらこのような言葉がけをしてみるのも良いかと思います。